こんにちは!せきれい歯科クリニックの院長 太田です。
今回は、歯周病の治療で行われる「フラップ手術」についてお話しします。
歯周病の症状が進行して歯周ポケットが深くなると、通常の歯石除去の処置ができないことがあります。その場合、部分的に歯ぐきを切開する歯周外科処置を行うこともあります。
〇歯周病の進行と歯周ポケット
歯周病は歯ぐきだけでなく、歯を支えている歯槽骨などの組織にも炎症が起こる病気です。歯と歯ぐきの間には健康な状態であっても0.5~2mmほどの溝がありますが、この溝にプラークが溜まり歯石になると炎症が起こります。これにより、溝が深くなり「歯周ポケット」が形成されます。歯周ポケットの深さにより歯周病の進行状況は評価され、軽度の歯周病では3~4mm、中等度の歯周病では4~6mm、重度の歯周病では6mm以上とされています。
〇フラップ手術の目的
フラップ手術(歯肉剥離掻把手術:Flap Operation)は、進行した歯周病の治療方法の一つです。通常の歯周基本治療を行ったあとにも深い歯周ポケットに歯石が残っていると判断された場合に、歯ぐきを一時的に切開して目視できる状態にしてから歯石除去を行うことを目的としています。しっかりと患部の歯石や病変部が見える状態で処置を行うことで、取り残しをほぼ無くすことができ、歯周ポケットの改善やセルフケア効率の向上が期待できます。
〇フラップ手術の流れ
フラップ手術は基本的に日帰りで行われる手術です。手術に要する時間は処置を行う歯の本数にもよりますが、概ね1時間程度です。おおよその流れは以下にご紹介します。
- 手術を行う箇所に麻酔をします。表面麻酔をしてから、局所麻酔を行います。
- 該当部位の歯肉をメスで切開し、切開した部分の歯ぐきを部分的に剥離します。
- 歯周ポケット周囲の感染している組織を除去します。
- 歯根の表面についている歯石をスケーラーで除去します。表面が滑沢になるように処置をします。
- 炎症により吸収された歯槽骨の形態を整えます。
- 剥離した歯ぐきをもとに戻します。その後、切開した部分を針と糸で縫合します。
- 術後には抗生物質や痛み止めを内服していただきます。また、翌日に患部の確認や消毒を行います。
〇フラップ手術を行える条件
フラップ手術は、次に挙げるような条件が整った場合にのみ行うことができます。
・歯周基本治療が終了している
基本的なスケーリングが終了した後の検査で、想定していたような改善がみられず4mm以上の深さの歯周ポケットが残っている場合、フラップ手術を検討することがあります。
・セルフケアが十分に行える
フラップ手術の術後は、感染などを防ぐためにもセルフケアがしっかり行えることが非常に重要です。口腔内の清掃状態が良好であることは必須条件ともいえるでしょう。
・全身状態に問題がない
糖尿病や高血圧などの全身疾患がある場合、その疾患をコントロールすることが手術を行う上で必要です。例えば、高血圧では血流を促進する薬(ワーファリン等)を服用していることがあります。この場合、手術中や術後の出血が止まらなくなることを防ぐためにも、服薬について担当医に相談しながら処置の可否を検討していきます。
・喫煙していない
歯周病を進行させる様々なリスクファクターの一つに、喫煙があります。喫煙は歯周病を悪化させるだけでなく、治療の効果を著しく低下させるおそれがあるため、禁煙ができてから手術を検討することもあります。
〇まとめ
歯周病が進行した歯を残すために、フラップ手術は一定の成果が期待できる処置です。歯周病は自然に治癒することはないので、症状に応じて適切な治療をしましょう。
当院では、経験豊富な歯科医師が患者様の全身の健康を考えてお一人おひとりに合わせた歯周病治療に努めております。生活習慣の改善や歯磨きの仕方についてのアドバイスも行っておりますので、歯周病の予防と治療は当院にお任せください。
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